喘息はなぜ治療するの?
喘息を治療する目的は3つです。
- 強い発作を起こしてしまうと、入院となってしまったり、時には呼吸困難で命に関わることがあるんです。それを予防するためです。
- 他の子達と同じ生活をするためです。喘息は呼吸が苦しくなってしまう病気です。発作が出ていると学校に行ったり、みんなと同じように運動したり、遊んだりすることが出来ません。ステロイド吸入が治療に導入される一昔前はずっと入院して、病院の中の学校に通っているお子様が沢山いたんです。
- 大人になったときの呼吸機能をより良い状態にするためです。喘息発作を繰り返すとリモデリングと言って簡単に言うと狭く、固い気管支になって行ってしまいます。小児科医としてはリモデリングを予防したい。残念ながら現在の医学では完全にリモデリングを予防することは出来ませんが、よりよい肺の状態を維持することは可能です。
1つ目、2つ目についてしっかり対応し、可能な限りリモデリングを予防することを目指します。
その為にはどういった事に注意が必要なのか理解し、日々の生活の中で実践すること。そして、症状の程度に応じた適切な治療を受ける必要があります。
喘息の治療方法は「発作が起こった時にする治療」と「発作が起こらないようにする治療」の2種類があります。
発作が起こった時にする治療
喘息の発作が起こってしまったときは即効性のある気管支拡張薬を使用します。
以下に示すような強い発作の時にはすぐに治療が必要であり、基本は入院治療が必要となります。救急外来受診、特に著明な呼吸困難や意識の低下や過度な興奮があるときには救急車を呼ぶこともお考え下さい。
そこまでの強い症状でなければ気管支拡張薬の吸入もしくは内服(お持ちであれば)をして医療機関受診をしてください。
強い喘息発作のサイン
- 唇や爪の色が白っぽい、もしくは青~紫色
- 息を吸う時に小鼻が開く
- 息を吸う時に、胸がベコベコ凹む
- 脈がとても速い
- 苦しくて話せない
- 息を吐くほうが吸うよりも明らかに時間がかかる
- 歩けない
- 横になれない、眠れない
- ボーッとしている(意識がはっきりしない)
- 過度に興奮する、暴れる
(参考文献:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017)
発作が起こらないようにする治療
喘息は症状がない時でも、気管支に炎症が起こっています。この気管支の炎症を抑えるためにステロイドの吸入薬、抗炎症薬、抗ロイコトリエン受容体拮抗薬などを使用します。これらの治療薬を使用し、日常で発作が起こらないように(コントール状態)維持することを目指します。
喘息治療の目標
- お友達と一緒に日常生活が出来る事
- 呼吸機能を正常に保つこと
- 夜間や早朝に咳や呼吸困難などで目を覚ますことなく、睡眠が十分にとれていること
- 喘息発作が起こらないこと
- 喘息死を回避すること
- 治療薬による副作用がないこと
- 非可逆的な気道リモデリングへの進展を防ぐこと
喘息を治療する以外にも予防方法と注意点があります
(ただし、年齢によって出来ないものがあります)
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